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始まってから大体五分はたった。術式には解読されないようになっていて、進展は一つもない。それに制限時間は一つだけではない。冷夏の熱のこともある。それがさらに私を焦らせる。せめて彼女のような冷静な思考力があれば…。無い物ねだりをするしかなかった。その時、一つの疑問が私の脳を過った。なぜ彼女は教室の隅を探索していたのか。それは考えるよりも先に答えが出た。冷夏がおぼつかない足取りで紙のようなものを持って近づいてきた。私はそれを覗き込むように見る。そこには文字が紙一面に書かれていた。手紙のようにも取れる。私は冷夏からそれを受け取って、読み始めた。
遺言
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