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二人の会話を聞いていたら、前の不動産会社の支社長がよく「しーしー言うなよ」と言っていたのを思い出してしまった。 彼はどこへ行ってしまったのだろう? 社長の(ひざ)の上は、暖かくて弾力があり、私にとって理想的な寝床(ねどこ)だったのだが――。 まあ、あまり彼に甘えると靖子がヤキモチを焼くので、我慢をしていたがね。 「でも、セックスだけはうまくてさ~。他はどうしようもないんだけど」 「じゃあ、それって彼氏じゃなくて性欲処理用の男じゃん」 ……毎度のことながら下品な娘たちである。 春は出会いの季節、夏は開放的になり、秋は人恋しい時期、そして冬はイベントだらけで性の大売出し(バーゲンセール)……。 人間にとって春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)とは、年中発情期と同義(どうぎ)なのだろう。 発情期か……。 思えば私にもそんな時期があったな。 今でこそこんな太ってしまったが、若い頃の私はもっとスタイルがよく、しょっちゅう(オス)に言い寄られていたものだ。 だが、あるときから交尾(こうび)にまったく興味が失ってしまい、気がつけば主人に「デブ猫」と言われるあり様だ。 いや、そもそも私が太ったのは、主人である靖子が悪い。 猫の食事管理は飼い主の仕事だ。 「それって別に普通じゃね? 男は金かセックスの相性っしょ」     
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