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靖子は別に彼と、キスをしたり、セックスをしたりしたいわけではないのだから――。
ただ、彼女は社長の傍に居たかっただけなのだから――。
……だから、だから。
もし社長が私の言葉を理解出来たら、「らーらー言うなよ」と言うだろうか? なんて考えてしまった。
……急に息苦しくなってきた。
ただ寝ているだけなのに、何故こんなに体調が悪いのだろう。
このまま死ぬのは構わない。
私はもう自分の寿命を受け入れているつもりだ。
だが、私が死んだあと……。
靖子のこと……。
それが気がかりだ……。
彼女はいつも無理をする。
まるで思考を停止させるためにかと思うくらい仕事ばかりする。
そして、さっきも言ったが素直ではない。
だから、余程しつこく付き纏ってあげなければならない。
……そうだ。
あの赤毛の娘のようにだ。
靖子が嫌がっているように見えても――。
彼女に拒否されても、殴りつけられても――。
それでも一緒に居てくれるような雄でなければならない。
……自分で考えていながら絶望的だと思う。
そんな苦労してまで、誰かを好きになるような人間などいないだろうに……。
……また息が苦しくなってきた。
私はこのまま死ぬのか……?
まあ、それもしょうがないがね……。
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