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駆けること果無しに、
落ちること底無しに。
固く硬く手を繋いで、やっと此処に辿り着いた。
「これで結ばれるね。」
そう微笑んだ彼の瞳は、月明かりを受けてキラキラと静かに輝いていた。
「これで、本当に良かったのか?」
身分が余りにも違う。
こんな薄汚れた石ころの為に、君が全てを捨てて。
こんな見ず知らずの地の、薄汚れた二畳一間に居る。
「まだ言うの?」
ふふふ
と、君は目を細めて、俺の顔を見つめた。
左右の宝石は紛れをなく自分を映していた。
「僕は、君の事が好きだ。大好きなんだ。愛してるんだ。だから、君と此処に居るんだ。」
刹那、目の前がチカチカと煌めいた。
「そんなに不安なら。君と此処に居る事が、君が僕の全てだって言う証拠でしょ?」
そうして、君は、頬を染めながら得意げに笑った。
果無しに
底無しに
この幸せに浸れるのなら。
「ふふふ……泣き虫だなぁ」
俺の頬を伝って、ポタリと1個。
掌に宝石が落ちた。
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