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毎週きっちり一時間程の私刑。
私はそれが終わると必ず行く場所がありました。
スカートについた埃を払い、痛む身体を何とか起き上がらせて向かうのは学校の裏庭にある飼育小屋。
ーー此処は、私にとっては唯一の憩いの場でした。
此処には、私のたった一人の友人がいます。
「やあ、こんばんは」
「こんばんは」
彼の名前はピーター。
喋る白ウサギです。
彼はとても紳士的なウサギで、私の懺悔を何一つ否定せずに聞いてくれるのです。
まるで、神父様のような存在です。
「今日の気分はどうだい?」
「……とても、辛い気分」
私がそう答えると、ピーターは困った様に笑いました。
「もう何十日もこの質問をしてみてるけど、君から良い気分と返ってきた事は一度もないね」
「良い気分になったことなんて、あの日から一度もないもの」
私はいつもの様にピーターをゲージの中から出してあげました。
ピョンピョン、と跳ねてピーターがゲージの中から出てきます。
「僕はね、君はそろそろ誰かに許されても良いと思うんだ」
ピーターは片眼鏡の形の模様が入った顔の毛並みをくしくしと整えながら言いました。
「私を許してくれる人なんて、この世のどこにもいないわよ」
「そんなことないさ。おいで」
「あっ、待って!」
ピーターは軽快な足取りで校舎の中へと入っていきました。
ピーターが他の人に見つかってはまずい。
私は慌ててピーターの後を追いかけていきました。
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