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「ねえ、カイリ、知ってる?隣の学校の事件!」
午前8時。私の朝は親友のこんな一言からはじまった。
いつもの通学路。噂好きの親友、栗谷リンコはいつもの様に突飛押しなく今日の採れたてニュースを話し始めた。
「若い女の先生がさ、自殺したんだって」
ーーどきり。
突然のニュースは私の胸の中を妙にざわつかせた。
この前の進路調査で「将来の夢」の欄を「教員」という文字で埋めたばかりの私にとってそれは悪いニュースでしかない。
「新人教員が自殺ってよく聞くけどさ、こんなに近くで起きるとビックリするよねえ」
リンコが焦げ茶色の長い髪を人差し指に絡ませながらブツブツと呟いている。
「……どうやって死んだの?」
「学校の屋上から飛び降りたんだって!」
私は実際に飛び降りた人の死体なんて見たことがないが、べちゃっという音と共に若い女性の身体が破裂したかのように潰れる姿が目に浮かんだ。
朝からなんて嫌な話を聞かせてくれるんだ。
「それもさぁ、その先生超美人だったらしいよ!」
「超美人なのに自殺したの?」
「あれじゃない?女子生徒から嫉妬されていじめられてたとか!」
「あー…」
「もしくは男子生徒からレイプ されたりとか!」
「もう……朝からやめてよ、リンコ」
「いやいや!ないこともないでしょ?」
すっかり名探偵気取りになっているリンコは止められない。
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