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白いワゴン。白い雲。白いシャツ。白。白。白。辺りを見回すと思ったよりも白いものは目立たないことに気づく。アスファルトの色は黒で、雨が染み込んだ木材の色は濃い茶色。落葉の色は赤か黄。白かった横断歩道のラインもハゲかかってアスファルトの色が剥き出しになっている。 コインランドリーに辿り着くと、白い乾燥機の中に色物の洗濯物を突っ込んでコインを入れた。百円で八分。百円で十分の小型乾燥機は全て使用されていたり故障していたりで、大型の乾燥機しか使えなかったのだ。割高になってしまうが仕方がない。乾燥機は規則正しく回り始めた。 白は純白とかいってどこか神聖さを感じるけれど、汚れが目立つので僕は嫌いだ。漂白剤を使用すれば白くなるが、元の色が損なわれてしまうころだってある。それほどまでに白は弱くて強い。 さてはて、ホワイトクリスマスなんていうけれど、今年は異常気象で十二月になった今ですら雪は降らない。暑いと感じる日もあるほどだ。誰だよホワイトクリスマスだって言ったのは。全く白くないじゃないか。 乾燥機は止まり、一回中身を確認。あまり乾いていなかった為、もう一度コインを入れた。再び乾燥機は不規則に、規則正しく回り始める。白いシャツに、白いタオルがぐるぐると巡回する。 コインランドリー備え付けのカウンターに座り込み、ノートを開いた。頭の中も洗濯物と同じようにぐるぐる巡回する。ここに来れば何かしら面白いアイデアが浮かび上がると思ってこうしてノートを持ち込んできたというのに! 幸いにも、先程一人だけ乾燥機を使用する人が現れたくらいで、その人もすぐ立ち去っていき、店内は自分一人だ。不気味に一人。はたから見れば(何やってんだこいつ?)だ。 理解してもらわなくていいし、理解されようとも思わない。ただ、書きたいから書く。それだけのことだ。
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