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コックリさんの鳥居
私が小学生のころ、学校の女子の間でひそかにコックリさんが流行っていた。
コックリさんとは専用の紙を用意し、そのうえにコインを置いて、皆で人差し指を合わせてコインを動かしていくものだ。私たちの間では、コインはだいたい十円玉を使用していたと思う。
専用の紙といっても、準備するのはそんなに難しいものではない。
四角い紙の真ん中より少し上に鳥居を描き、その両脇にはいといいえという言葉を書く。そして鳥居のしたにあいうえお、というように五十音を表で記入し、下部には0から9までの数字を書いたものだ。
世間一般に知られているコックリさんと、何も変わりはないと思う。
皆の人差し指を鳥居に置いたコインに乗せ、コックリさんを呼び出すことが出来ると、コックリさんがコインを動かして質問に答えてくれる。
いわゆるひとつのおまじないと言っていいだろう。
降霊術だとか狐憑きだとか、世間でのコックリさんの評判は決していいものではなかった。
感受性の強い子供にはあまり良い影響を及ぼさないということで、多くの学校で禁止されていたと聞いたことがある。うちの学校でも、コックリさんをしていると先生に注意された。
とはいえ大人にやるなと言われるほどやりたくなるのがあの年ごろの子供で、私たちは放課後の教室など先生がいない時間を見計らっては、コックリさんで遊んでいた。
ただ、私の学校にはコックリさんにまつわる奇妙な噂があった。
それは紙に描いた鳥居のどこかに隙間を開けてしまうと、呼び出されたコックリさんが紙から抜け出し、誰かに取り憑いてしまうというものだ。
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