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恒星は得意け笑いながら子供を扱うように再びぽんぽんとその頭を叩いた、その時だった。
「隙ありっ!!」
大輝は恒星の隙をつき、もう一度思い切り飛び跳ねる。
「なッ!?」
大輝は意識外だった彼の手から素早く本をひったくった。
一旦諦めた振りをし、油断した瞬間に取り上げる。
大輝の計画は完璧だった。
「ッうわ!」
彼が勢いのあまりバランスを崩すまでは。
【ドサッ】
2つの影が折り重なって地面に重なる。
「いてててて」
「すまん。少し乱暴過ぎた。」
「……ッ!?ダイキ!お前早くそこどけよ!」
「す、すまん!」
恒星を押し倒す形で倒れてしまった大輝は、慌てて彼の体から退く。
「はぁ……ったく、ホントにワーホリつーかなんつーか……。」
恒星は毎日30分かけてワックスで固めた髪を気にしながら立ち上がると、制服に着いた汚れを払った。
「ほ、本当に済まない……」
それを申し訳無さそうに見る大輝は、今にも土下座でもしそうな勢いだった。
「あぁ!!もう!気にすんな!!どうって事ねーよ!」
ほら、とっとと帰んぞ。と、恒星はバツの悪そうに顔を背け、大輝の腕を掴んだ。
「すまん、怪我をさせる所だった。」
「だから、気にすんなって。俺ヤンキーだぜ?怪我なんて日常茶飯事なんだよ。」
「うぅ、この借りは必ず返す。」
「……なんか、嫌だなその言い方。」
そうこう言いながら、校門を出る2人。
そこまでが、彼等の日常だった。
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