12裏庭での自覚

1/4
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ

12裏庭での自覚

『今日の一位は獅子座のあなた!!気になるあの子と恋に発展しちゃうかも?!ラッキーアイテムは水色のハンカチ!』 朝の7時、ボロアパートの一角からやかましく騒ぐ声が響いている。 その原因は母がまだ帰宅しないままにバタバタと朝の支度をする4兄弟たち。 「こうせー1位だぞ!!」 「こうせー恋しちゃうの……!?」 「うるせぇ!さっさと準備しろっ!!」 統星と安曇を着替えさせ、朝ごはんを用意し、洗濯物を干して、シャツにアイロンをかけ、二人が食べ終わったら食器を片付ける。 朝の恒星は主婦顔負けの忙しさだ。 「兄さんッ……!は、はいっお弁当……!」 双子達の世話をしていると、後ろからバンダナに包んだお弁当箱を渡す北斗。 今までは忙しいから昼は購買で済ませていた恒星だったが、 最近ではそちらの方が高くつくのと、栄養が足りない、と北斗が弁当を作ってくれる様になっていた。 「さんきゅっ……!ほら、お前らテレビ見てねーで家出るぞっ!!」 「こうせー水色のハンカチはー?」 「ハンカチ持ってかないとー」 「知らんわっ!!さっさと行かねーと遅刻すっぞ!」 北斗から受け取った弁当を鞄に入れ、二人を引っ張って皆んなで家から出る7時15分。 この忙しさでも毎朝しっかり早起きをして髪型を整えているのは、彼のちょっとした自負だ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!