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12裏庭での自覚
『今日の一位は獅子座のあなた!!気になるあの子と恋に発展しちゃうかも?!ラッキーアイテムは水色のハンカチ!』
朝の7時、ボロアパートの一角からやかましく騒ぐ声が響いている。
その原因は母がまだ帰宅しないままにバタバタと朝の支度をする4兄弟たち。
「こうせー1位だぞ!!」
「こうせー恋しちゃうの……!?」
「うるせぇ!さっさと準備しろっ!!」
統星と安曇を着替えさせ、朝ごはんを用意し、洗濯物を干して、シャツにアイロンをかけ、二人が食べ終わったら食器を片付ける。
朝の恒星は主婦顔負けの忙しさだ。
「兄さんッ……!は、はいっお弁当……!」
双子達の世話をしていると、後ろからバンダナに包んだお弁当箱を渡す北斗。
今までは忙しいから昼は購買で済ませていた恒星だったが、
最近ではそちらの方が高くつくのと、栄養が足りない、と北斗が弁当を作ってくれる様になっていた。
「さんきゅっ……!ほら、お前らテレビ見てねーで家出るぞっ!!」
「こうせー水色のハンカチはー?」
「ハンカチ持ってかないとー」
「知らんわっ!!さっさと行かねーと遅刻すっぞ!」
北斗から受け取った弁当を鞄に入れ、二人を引っ張って皆んなで家から出る7時15分。
この忙しさでも毎朝しっかり早起きをして髪型を整えているのは、彼のちょっとした自負だ。
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