12裏庭での自覚

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「北斗、お前また髪の毛ボサボサだな。」 今日は思ったよりも余裕を持って出られた為、歩きながらそう北斗に話しかける。 「ぼ、僕は……兄さんみたいに、おしゃれとか…………あんまり似合わないから…。」 髪の毛を染めたりピアスを開けるどころか、未だ目にかかる程の前髪と、天然パーマの緩くかかった黒髪を野放しにしている北斗。 彼は同級生と比べても明らかに、そう言うことに関して無頓着だった。 「お前らの学校そー言うの緩いだろ?やりやぁ良いのに……。」 これは家族しか知らない事だが、北斗は中々可愛い顔をしている。 幸い、ここ近辺の学校は恒星の高校共々校則が緩い。 なので恒星は、北斗がもう少し身だしなみにさえ気を付けていれば、そこそこに異性から人気が出るのではないかと思っていた。 「なんなら俺が髪の毛セットしてやろっか?」 「えぇええ??そんなっ、僕なんかがセットしたら……学校でいじめられちゃうよ……。」 「そん時は俺が乗り込んでやるから安心しろよ。」 「安心できないよ……。とにかく、僕は今の状態で良いの。」 もったいない、と少し不満を呟きつつ北斗の髪を触る恒星。 それに対し、くすぐったいそうに北斗は笑みをこぼした。 その後、それぞれの学校へ分かれて、恒星も高校へ向かう。 そういえば、うちの学校にも一人。 全く髪も染めず、ピアスも開けない男がいたなと、思い出す。 すると、噂をすればなんとやらで、 「皆んなおはようっ!!!」 と、大毅が今日も今日とて元気にクラスに入ってきた。 彼は恒星を見るや駆け寄り 「おぉ!!今日は間に合ったのかね!!感心だぞ!」 そう、朝とは思えない程の高いテンションで話しかけてきた。 「はいはい。アリガトウゴザイマスー。」 本当に、朝ぐらいは穏やかに過ごさせて欲しいものだ。 隣で勝手に今日の時間割や放課後の勉強会についての話を右から左へ流しながら、恒星は窓の外を見上げる。
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