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「いやいや……まさかな。勘違いだ、これはぜってぇ勘違いだ……。」
帰り道を歩きながらも未だぶつぶつと独り言を呟いている恒星。
アイツはただのうるさい風紀委員長であって、やかましくて、暑苦しいだけ。
あんな変な奴に恋だなんて……
考えている事を全て口から垂れ流しながら歩く。
すると、
「いてっ……!!」
「ッ……!」
考え事に意識を取られすぎたのか、向こうから歩いてくる人に肩と肩がぶつかった。
見上げてみると、それは自分よりもひと回り体格の大きい見るからにガラの悪い他校の先輩だった。
「オメェ、どこ見てやがんだ!!」
彼はすかさず恒星に向かって啖呵を切ってくる。
後ろには数名の取り巻きを引き連れており、恒星はそれでもまだ考え事に気を取られながら、そういえは【こういう事】も久しぶりだな、と呑気に先輩を見上げながらそう思った。
「すいませんね、ちょっと考え事してて。」
こういう輩は面倒臭い。
今はそれどころじゃないのに勘弁してくれと、恒星は先輩達を軽く諫めようとするが
逆にその態度が気に食わなかったらしい先輩方は恒星の周りを取り囲む。
「考え事ぉ??すいませんで済むわけねぇだろッッッ!!!!」
唾を飛ばさんとする勢いで騒ぐ先輩。
それに合わせて周りの取り巻きもそうだそうだと口々に言う。
「大事な事だったんすよ。本当、申し訳ないと思ってますから。帰ってもいいですか?」
囲まれている時点で、易々と帰して貰えるとは思っていないが、恒星は取って付けたような謝罪を述べる。
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