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2 図書館裏の眼差し
「ッ.......いててて」
昼過ぎの図書館裏
そこに一人の不良が足を引きずりがちに歩いていた。
「ったく、1年だからって舐めてんじゃねーよ......」
顔、腕、腹部。
至る所に出来た打撲は、カツアゲされていた同級生を助けた時の喧嘩での物だった
「はーいてて。」
数名の上級生をたった一人で負かせる程の強さを、彼は持っている。
しかし、その分その強さを恐れてか、彼はいつも一人だった。
遂に少年は壁にもたれ掛かり、座り込んむ。
ここまで来れば一眠りくらいは出来るだろう。
「――櫻井くん。大丈夫かね。」
「!!」
急に人の声が掛かり、また先輩が来たのかと慌てて目を開く。
すると、そこには想像とは違い、しゃがんでこちらをじっと見つめる大輝の姿があった。
「っ、何だよお前か。」
恒星は、きっと彼は授業をさぼっている事を咎めてくるのだろうと、再び壁に身を預けた。
怪我人ぐらいには優しくして欲しいものだ
しかし、彼のリアクションは少し違った。
「ほら、腕を貸せ。」
「は?」
大輝は、おもむろに恒星の腕を掴むと、それを肩に乗せた。
「保健室に行くぞ。」
「え」
毎日毎日顔を合わせる度に注意をしてくる風紀委員長。
それが、今は何も言わず保健室へと連れて行こうとしている。
恒星は呆然としながら、彼にされるがままいつの間にか歩いていた。
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