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「坊? どこだ?」
焦って灯りをつけると、カーテンが雨風にはためいていて、庭への戸が開いていることに気付く。
「また外に出たのか」
慌ててカーテンを開けると、雨が激しく打ち付ける庭に、坊がいた。黄色い傘を開き、ハナニラを守るようにそれを差し掛けながら、自分はびしょ濡れでその脇にしゃがみ込んでいる。
「おい、なにやってる!」
亮次は思わず叫んで坊を抱き抱え、部屋の中へと引き入れた。冷たい身体に戦慄しながら急いで服を脱がせ、バスタオルで全身を拭うと、干してあった自分のシャツでくるみ込んだ。
坊は亮次をぼんやりと見上げながら、弱々しく抱きついてくる。
「おまえ、なんで……!」
寒さに震えている坊を抱き締めながら、亮次は強い胸の痛みにうめき声を出した。
ハナニラを枯らすなと言った亮次の言葉を憶えていて、坊は傘で亮次の大切な花を守ろうとしたのだ。
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