第四章 笑えよ、坊…じゃないと俺は……

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 亮次は少し前から、今日この日に、美里に本当のことを告げようと思っていた。  美里は知らなくてもいいのかもしれない。こんな告白は、亮次の自己満足なのかもしれない。  そう考えもしたが、やはり美里には伝えたいと思った。どんなに詰られても、罵られても仕方がない。もうこれきり縁を切られることも覚悟していた。  けれど坊と出逢い、誰かを愛おしく思う気持ちや、大切に想う気持ちを知った今、兄をいつも支え、深く愛してくれた美里に対しても、正直でありたいと思ったのだ。 「美里、話したいことがある」  食事が終わって、テーブルの上がおおかた片付いた頃、亮次は自分の激しい鼓動を聞きながら、美里にそう告げた。 「なあに」  美里は流しの水を止めて振り返ると、亮次の表情を見て、すっと笑みを消した。 「坊、ちょっとごめんな。先、風呂入っててくれ。ひとりで入れるな?」  亮次が言うと、坊は無表情に亮次を見つめ、それからつと目を逸らして風呂場へと歩いて行った。 「どうしたの?」  美里は坊の後ろ姿を見送ってから、テーブルの前に正座し、不安そうに亮次に訊いた。
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