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「あの、不躾で何なんですが…………」
言いにくそうにしたのは一瞬。
私は麗奈の方を振り返った。
「間宮先生と仲良すぎません?」
声色を低め、あからさまに渋い顔をしていた。
「間宮先生?」
確かに、一日に何度となく絡まれることもあったけど、特別好意的な会話は一切ないと思っている。
「えっと……………仲良く見えたのかもしれないけど、どうでもいい話に、あっちが勝手に絡んできてるだけなんだけど………」
事実を言ったつもりだった。
「自慢ですか?」
えっ?自慢?
意味がわからず眉を寄せ首を傾げた。
「私には、向こうから話しかけてくるんだよねってことですよね。櫻井さん気に入られてるって思ってるみたいですけど、病棟内でアピールするの何だか見てられないです」
いつもの人懐こい表情とは違い、真顔で見上げる麗奈はちょっと怖かった。
それにしても、空いた口が塞がらないとはこのことだ。
凛太郎から気に入られてるなんて思ったこともないし、私からアピールしたことなんて一度もない。
ましてや、可愛いと思っている後輩に、真顔で説教されるなんて。
「ほんとに、仲良くなんてないんだけど」
幼なじみだから、とはこのタイミングでは言えず、こう言うのが精一杯だった。
「私だって間宮先生に本気です。全然相手にされないし、話しかけてもさらっと流されて、気がついたらよく二人で話してるじゃないですか。その気がないんだったら、私たちにもチャンスを下さいよ。言いたくはないですけど、男の人って若い娘の方が好きじゃないですか…………っ!」
そこまで言って、さすがに麗奈もしまったと思ったのか、目を逸らした。
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