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メニューを閉じウェイターに渡すと、こちらに顔を向けた。
………凛太郎は何をしても様になって、本当に格好いいな。
そんなことを思っていると、ちょっと目を細め、口元を歪めると
「梓、見すぎ」
と、凛太郎に注意された。
慌てて視線を逸らしてしまう。
少しして、凛太郎が
「よく俺のこと凝視するよな。何か珍しい?」
そう言って、ふっと笑った。
「珍しい訳じゃないけど、何でこんなに男前なんだろうと思うとついつい見ちゃうだけ」
本音がポロリと溢れると、凛太郎は少し目を丸くして
「梓、俺のこと男前だと思ってたんだ……」
と、軽く瞬きをした。
「そりゃ普通に思うわよ。
……………見慣れてたつもりだけど、やっぱり格好いいし、私なんかと比べたら人種が違うと言うか…………」
「馬鹿らしい。別に好きでこの顔に産まれてきたわけじゃないだろ。女からは興味本意で迫られるし、男からは無駄にやっかまれる。正直迷惑してる」
少し食いぎみに言うと、あからさまに嫌そうな顔をした。
「それに、私なんかとか言うな。梓は梓、俺は俺。俺が梓がいいって思ってるんだからそれで問題ないだろう」
たぶん凛太郎は、容姿のことでそれなりに嫌な思いをしてきたみたいだ。
あまりこの事については、言わないことにしよう…………
そう思ったら、凛太郎がちょっと考えるように少し上を向き、私の方に視線を移すと
「でもまあ、梓が格好いいと思って時々俺のこと見つめるのは悪い気はしないな」
と、口元を緩めた。
ドキッとする。
…………もう何考えてるの、この人。
「梓も今日いつもと違うな。…………似合ってる」
じっと見られながら褒められると、照れずにはいられない。
「誕生日仕様だから……………」
思わず照れ隠しで言ってしまう。
「ふーん。……じゃあ、毎日が誕生日でもいいな」
「毎日は困る!私すぐに歳取っちゃうじゃない!」
ぱっと顔を上げると、柔らかい表情で私を見つめる凛太郎と目が合った。
心臓に悪い…………
今日1日、無事に終えれるかな、私…………
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