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シャンパンと料理が運ばれてきた。
「じゃあ、改めて。…………梓、誕生日おめでとう」
「……ありがとう」
軽くグラスを合わせて、くっとシャンパンを口に含んだ。
酸味とほんのりとした渋味が、炭酸とともに喉を潤した。
緊張で喉が乾きぎみだったので、もう一口飲み込んだ。
料理もとても美味しかった。
私好みの料理が運ばれてくるので、テンションも上がってしまう。
凛太郎が私の好みに合わせてくれているみたい。
子供のころから味覚はそんなに変わってないんだけど、よく覚えているものだな、と感心してしまう。
「今日、仕事だったんでしょ。なかなか終わらなかったの?急かしたんだったらごめんね」
仕事を巻いて来たんだろうか。
そんなに急がなくても、連絡さえくれれば待てたのでつい気を使ってしまう。
「いや。仕事は終わってたんだけど、出しなに牛嶋先生たちに捕まってしまって……」
「なんで?」
「いつもと格好が違ったからなのか、デートなのかって聞かれたから、そうですって答えたら囲まれて質問攻めに合った…………」
思い出したのか苦い顔をした。
「えっ、何聞かれたの?」
「んー、まぁ根掘り葉掘り色々と…………」
濁すところを見たら下世話な話なんだろう、何となく想像がつく。
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