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そんなことより
「私のこと言ってないよね」
思わず前のめりになってしまう。
凛太郎が、にやっと笑いながら
「さあ、どうだろう」
と言うもんだから、思わず立ち上がってしまった。
「嘘でしょ!やめてよね!そんなこと言わないでよ!」
思わず声を荒げてはっとした。
また、やっちゃった…………
これじゃあイケメンに弄ばれて、癇癪を起こしてる痛い女みたいじゃないの…………
固まる私を見ながら、凛太郎はくくくっと笑いを噛み殺した。
周りの席の人も、何事かとこちらを見ている。
「お前が嫌がるのわかってるのに、言うわけないだろ。大丈夫だから座って………」
まだ笑いを噛み殺している。
恥ずかしすぎて隠れたい。
凛太郎が、周りの席とウェイターに軽く頭を下げる。
周りの人たちも『大変ね』と言うように、会釈するのが見えた。
ストンと椅子に座ると、うつ向いてしまう。
「凛太郎…………ほんとに私をからかうの止めてくれない…………」
消え入りそうな声が出た。
「ごめん、怒るなって。いい反応するからつい………」
よしよしと頭を撫でられた。
くやしいけど、やっぱり凛太郎にはかなわない。
「…………今日、全部奢りなら許す」
「当たり前だろ」
しょうがないので、のそのそと顔を上げた。
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