エピソード3 再会

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はい、横向いて。体を私の方に向けたとき 「痛い痛い!!お前、足が痛いのわかってて、わざとやってるだろ!もっと優しく支えんか!!」 これでもかってぐらい怒鳴られた。 大袈裟な。 と、少しげんなりした。 もともと痛みに弱い人なので、ケアの前に痛み止めの座薬を入れている。 さっき隼人が聞いたら、よく効いてるわって言ってたよね。 絶対私への嫌がらせだ。 「すみません。気を付けますね」 口では優しく謝ったが、横向きで相手の顔が見えないのをいいことに、思いっきり顔をしかめてやった。 向かい合っている隼人には丸見えで、隼人はおどけたように首をすくめ、『ご・め・ん』と口パクで言った。 別に隼人が悪い訳じゃない。 『い・つ・も・の・こ・と』 私も口パクで返し、苦笑いを浮かべた。 飯島さんこんな人だから、若い看護師はなるべく担当させない。 若い娘を見れば、やれお前はどこが悪い、もっとこうしろああしろ、しまいには患者がいるから飯食ってるんだろ!っと、『患者様は神様です』と言わんばかりの理不尽さで罵る。 正直、早く退院すればいいのにとうんざりする。 だから、隼人みたいな男性看護師か、ベテランの看護師が担当することが多かった。
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