エピソード3 再会

22/28

11568人が本棚に入れています
本棚に追加
/849ページ
別に今日のミスは、凛太郎のせいじゃない。 そんなことはわかっていたけど、凛太郎が来てからというもの、私の周りが騒々しく感じる。 変に落ち込んだり、腹が立ったり、胸騒ぎがしてしかたがない。 じっと凛太郎を睨み付けると 「………ちょっと来い」 左腕をつかまれ、半ば強引に引きずられるように歩かされ、時間外用の診察室に放り込まれた。 昼間は診察室は使われておらず、周りは静かで人の気配はない。 私は診察室の患者用の丸椅子に座らされ、凛太郎は私の前の椅子に、ギッと音を立てて座った。 足を開き、両膝の上にそれぞれ肘を置き、右手に顎を乗せながら、少し前のめりに私を見つめた。 ほんとに診察されてる、患者と医者みたい。 少し萎縮し、体を縮めた。
/849ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11568人が本棚に入れています
本棚に追加