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別に今日のミスは、凛太郎のせいじゃない。
そんなことはわかっていたけど、凛太郎が来てからというもの、私の周りが騒々しく感じる。
変に落ち込んだり、腹が立ったり、胸騒ぎがしてしかたがない。
じっと凛太郎を睨み付けると
「………ちょっと来い」
左腕をつかまれ、半ば強引に引きずられるように歩かされ、時間外用の診察室に放り込まれた。
昼間は診察室は使われておらず、周りは静かで人の気配はない。
私は診察室の患者用の丸椅子に座らされ、凛太郎は私の前の椅子に、ギッと音を立てて座った。
足を開き、両膝の上にそれぞれ肘を置き、右手に顎を乗せながら、少し前のめりに私を見つめた。
ほんとに診察されてる、患者と医者みたい。
少し萎縮し、体を縮めた。
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