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さーて、と言わんばかり、凛太郎は右の口角を上げた。
「さっきの続き。俺といるとロクなことないってどういうこと?」
少し意地悪そうに目を細めた。
立場は患者の気分なので、気弱な声が出た。
「…………昼間も若い子から、間宮先生と私が仲良くしすぎるって言われたし、確かに間宮先生、必要以上に絡んでくるから、正直対応に困る」
ちらっと凛太郎を見上げる。
「そんなの幼なじみなんだし、普通のことだろ。そう言ってやりゃいいだろ」
何でもないようなことと言わんばかり、呆れたような口調で言われた。
「普通じゃないじゃん。少なくとも私たちは普通じゃなかったよね!」
学生時代の冷戦期間のことを思い出した。
「昔は昔。今は今。今、幼なじみに戻ったって何の問題もないだろ」
それはそうかもしれないけど、今さら実は幼なじみでした、ジャーン!みたいなことは、もう言い出せない。
「私との距離感考えてくれないと、周りに変な目で見られてるんだよ!」
…………主に私がなんだけど。
でも、凛太郎の気を引きたいアラサー女、みたいな目で見られるのは、正直耐えられない。
「はっ!馬鹿らし」
凛太郎は、背もたれにのけ反った。
「周りとか関係ないだろ。俺とお前が幼なじみなのには変わりないし、一生懸命頑張ってるお前見たら、肩の力抜いてやりたくなるだろ?」
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