エピソード3 再会

27/28
前へ
/849ページ
次へ
……………何? それこそ、じっと見つめられて、頬が少し熱を帯びた。 「笑った顔、久しぶりに見たな」 ぽつりと凛太郎が呟いた。 …………そうだっけ? 確かに最近の私は、特に凛太郎と話す時、眉間に皺がよっているか、ぷっと膨れてることが多い気がした。 再会してからは、笑って話したことなんてなかったかも。 凛太郎にうんざりしてはいたものの、それはそれで、さすがに失礼だったかもっと、肝が冷えた。 「櫻井は笑った方がいい。いつもの凛とした感じもいいけど、断然、今の方がいい………」 まっすぐ見つめられ、さらに頬が熱くなった。 「ばっかじゃないの」 ふいっと視線を外すと、照れてんの?とからかうように笑われた。 また、ぷっと頬を膨らませると。 「ちょっと待ってろよ」 突然、診察室を出て行った。 何とも言えない、むず痒い空気がなくなり、ふーっと息を吐き出した。 凛太郎のやり方は、いじめてばかりの子供みたいだけど、私のために毎日声かけてくれてたんだな。 と、妙に納得した。 俺たち幼なじみだろ、って声が聞こえてきそうだった。 訳のわからなかった凛太郎の言動が、ようやく私の中でストンと落ちた。
/849ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11549人が本棚に入れています
本棚に追加