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……………何?
それこそ、じっと見つめられて、頬が少し熱を帯びた。
「笑った顔、久しぶりに見たな」
ぽつりと凛太郎が呟いた。
…………そうだっけ?
確かに最近の私は、特に凛太郎と話す時、眉間に皺がよっているか、ぷっと膨れてることが多い気がした。
再会してからは、笑って話したことなんてなかったかも。
凛太郎にうんざりしてはいたものの、それはそれで、さすがに失礼だったかもっと、肝が冷えた。
「櫻井は笑った方がいい。いつもの凛とした感じもいいけど、断然、今の方がいい………」
まっすぐ見つめられ、さらに頬が熱くなった。
「ばっかじゃないの」
ふいっと視線を外すと、照れてんの?とからかうように笑われた。
また、ぷっと頬を膨らませると。
「ちょっと待ってろよ」
突然、診察室を出て行った。
何とも言えない、むず痒い空気がなくなり、ふーっと息を吐き出した。
凛太郎のやり方は、いじめてばかりの子供みたいだけど、私のために毎日声かけてくれてたんだな。
と、妙に納得した。
俺たち幼なじみだろ、って声が聞こえてきそうだった。
訳のわからなかった凛太郎の言動が、ようやく私の中でストンと落ちた。
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