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ほどなくして、凛太郎が戻ってくると、立ったまま
「手、出して」
と、促してきた。
私が右手を開くと、ポトンと手のひらに何かが落ちた。
それは、バスケットボールのキーホルダーだった。
パッと凛太郎を見上げると
「今日だけ貸してやる」
と、にやっと笑った。
「これ以上問題起こしたら、お前、飛び降りでもしそうだしな」
縁起でもないことを言った。
「……ありがとう」
「一個貸しだからな」
凛太郎は、いつものように右の口角を上げ、いたずらっ子のように笑った。
不思議と、嫌な感じはしなかった。
凛太郎のキーホルダーのお陰なのか、この日はこれ以上面倒なことは起こらなかった。
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