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エピソード4 凛太郎の謎
「櫻井、今日の占いは、また最下位じゃないだろうな」
ここ数日、このネタでよく弄られる。
「杉浦先生、何度も言ってるじゃないですか。ほんとあの日は、たまたまだったんですって」
少し顔をしかめてみせた。
「今度、俺のことも占ってくれよ」
「だから、私は占い師でもありませんって」
わざと苦い顔をした私を見て、はははっと豪快に笑いながら、前を横切って行った。
『あの日の不調は、占いのせいだった』
すぐに、私の噂は病棟内に広まり、周りの人から占いオタクだと勘違いされている。
当然、この恥ずかしめを受けている元凶は、凛太郎にある。
「梓が占い好きだったとわねー」
一緒に処置の片付けをしていた三咲も、にやにやしながら私を覗き込む。
「違うんだってば。わかってるくせに」
もう、とばかりに鼻を鳴らした。
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