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あの日の翌日、凛太郎は私のところに来ると
「ほら」
と左手を差し出した。
すぐには、何のことかわからず
「何?」
怪訝そうに凛太郎の顔を見た。
「昨日貸したキーホルダー、返す気ないの?」
もう一度ほらっと言うように、左手をクイっと持ち上げた。
確かに借りはしたから返すつもりにはしてたけど、会ってすぐ催促されるとも思わず、鞄の中に入れていた。
「今持ってないから、後でもいいでしょ」
そう言ったところで、噂好きの看護師、後藤美影に割って入られた。
「なになに?キーホルダーって?」
私と凛太郎が話していることはよくあることだけど、さすがに、キーホルダーを返せのやり取りが、不自然だったんだろう。
興味津々の顔で、私と凛太郎を交互に見た。
……………まずい人に見つかったな。
と内心思ったけど、そもそも、凛太郎が誰もが見てる前で言わなければいいことだった。
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