エピソード4 凛太郎の謎

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いつも通りの関係に戻ったとは言ったけど、以前なら、この後も二言三言、私をからかうような言葉が続くことが多かったのに、最近は、あまり無駄なことを言うことが減ってきていた。 おそらく、診察室で凛太郎に『距離感考えて』って言ったことが理由だろう。 幼なじみなんだから、と凛太郎は呆れていたけど、私の思いも察したんだろうか。 絶妙な距離を保つようになっていた。 そうなるようにお願いしたのは私なんだけど、不思議なもので、距離を保たれると、なんだかもの足りなさを感じてしまう。 幼なじみと言われても、正直どの距離が正解なのか、私にもわかってなんかいない。 小学生の時は、親友のような存在だったし、男女の壁はいまより遥かに低かった。 よく一緒に遊んだし、お風呂も一緒に入ることもあったし、一緒に寝ることもあった。 今さら一緒にご飯行こうだの、遊びに行こうだの誘うのも躊躇われる。 私の痛いところには、ずけずけ土足で入ってくるくせに、自分の弱味は決して見せない。 愛想よく振る舞ってはいるけど、凛太郎こそ、隙がないんじゃないかと疑ってしまう。 それに、もし食事に誘ったとしても、あっさり断られたら、その気じゃないけど凹んで立ち直れない気がする。 学生時代の冷戦と、会うことのなかった10年を経て再会した、幼なじみの男女の距離感なんて、誰も教えてくれない。
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