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「別に、デレデレしてない」
そう言うと立ち上がり、私のところまで歩み寄った。
まったく、と呆れたような顔をしながら、口元を意地悪く歪めると、私の顔に手を伸ばしてきた。
……何?と警戒する私に、思いっきり『パチーン』と、デコピンした。
「痛!」
私はおでこを押さえて、1、2歩後ろによろけた。
ざわっと周りの緊張が緩んだ。
「もう、待ったなしだ」
私にそう言うと、全体の方を振り返り
「この度は、俺の相方が突拍子もないことを言い出して、すみませんでした。愛ある注意と受け止めて、俺も気を付けますので、どうかこの場の空気を乱したこと、許してやってください」
そう言うと、私の後頭部に手をやりお辞儀させると、自分も深々と頭を下げた。
何を見せられたのか、ぱちくりしていた人たちも、自然発生的に拍手をしだした。
頭を下げたまま
「後で、反省会な」
私にだけ聞こえるように、凛太郎はそう言った。
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