故郷、富山へ

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 戦争は終わった。  世界は平和になった。  ……たぶん。  深海の底から現れた彼女たちは『真人類』を名乗り、俺たち人類、もっと言うと世界中の人類国家に宣戦布告して戦いを挑んできた。  彼女らは海から出現し、海を跋扈し、海を荒らし、海から地上を襲撃する。  巨大な怪物を駆り、近代兵器で武装した各国軍を圧倒する勢いを見せた。  誰が最初に言い出したのか、群れを為して一定の統制を持って戦いを仕掛けてくる彼女たちの事を『深海軍』。  彼女たちが駆る生体兵器みたいな艦艇を『深海棲艦』。  彼女らの事を『深海人』と、畏れを込めて呼び始めた。  開戦当初、人類は各国間の連携が取れず、さらに未知の敵の力を原始的と侮り、作戦の不備から大苦戦したが、後に何とか盛り返し、一進一退を繰り返し膠着状態で10年間。お互いの疲弊が限界に達して継戦困難に陥り、ついに条約を交わして休戦に至ったのが1年前。非戦闘地域を設けて不可侵条約を結んだ。
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