故郷、富山へ

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 新幹線は長いトンネルに入り、景色は車窓から完全に喪失。トンネルは糸魚川トンネル、親不知トンネル、朝日トンネルと続き、暫くは土竜になって地中をひた走っていく。  しかし新幹線は早い、あっという間に長いトンネル区間を抜けて、いよいよ富山平野が目の前に広がっていく。 「関東平野とは雰囲気が違うが、随分と開いたところにやってきたな」 「ああ、俺の故郷だ」 「司令官……」 「も、と、司令だ」  俺は帰ってきた。  過酷な戦争を生き残り、故郷へ帰ってきた。 「おお、おおおお……!」  彼女が赤い瞳をめいっぱい見開いて、感動と驚嘆が混じった声を漏らしながら窓に張り付いてその光景を見つめている。そんな彼女の肩にそっと手を置いて、興奮冷めやらぬ彼女に問う。
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