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前方を走っていた、ハンビーが爆発する。“狂犬”は舌打ちしながら呟く。
「はぇぇじゃねえか」
89式小銃を担ぐと荷台から飛び降り、続く車両に怒鳴りつける。「野郎共!!来るぞ。
転生騎士の嬢ちゃんがが」まるで、それが合図だったかのように地面に閃光が走り
魔法陣が描かれる。その中から蒼身の鎧を身にまとい金色の目をした少女“転生騎士”
が現れた。
「野郎!!」
車両から飛び降りた兵士が罵声と共にM16ライフルを少女に向けた。ストロボを炊いたような光を発しながら5.56ミリ弾が発射される。弾丸は吸い込まれるように少女に命中していくが、彼女はそれを腕一振りで、全て叩き落としてしまった。
「くそ。撃て、撃て。」
周りの兵士たちも射撃に加わる。複数の銃口から発射された弾丸が全て少女に向かっていく。だが、結果は同じことだった。
「見えない盾、いわゆる魔法って奴か!?」
部下の1人の言葉が終わるより早く、少女が動き、兵士達の間を舞うように駆け抜ける。
その抜けた後を追うように倒れる兵士達。最後の1人が倒れた時、立っているのは少女と狂犬だけとなった。射るような視線に気づいた彼は、楽しそうに喋りだす。
「盾じゃねえよな?さしずめ剣ってとこか、お嬢さん?」
明らかに状況を理解していない。いや、自分だけしか残っていないことに危機を感じていないのかもしれない。お嬢さんと呼ばれた彼女は幼さが残る顔をしかめながら、冷ややかに言い放つ。
「やはり、貴方でしたか…狂犬。自らの兵がやられても顔色一つ変えないとは、
白状なことですね。」
明らかな皮肉にも狂犬は全く動じず、切り返す。
「あんたが言えることか?それに殺してないよな?一人も。その点には感謝する。心優しき転生騎女。しかし今回は随分と、ちんまりとしたナリだな?マニア狙いか?」
転生騎士はさらに顔をしかめ、少し怒気を孕んだ口調で言う。
「もう結構、これ以上は語るに及ばず。私がここに存在する理由はわかりますね?」
「ああ、“World☆maker”はわたさねぇ。」
こちらの言葉に一瞬で空気が変わった。転生騎士は剣を構える動き(武器が見えないので、
勝手に判断するしかない。)をしながら跳躍する。
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