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会いに行く
ようやくたどり着いた浜辺には、私しかいなかった。
何か落ちていないか目を皿にする。鳥は砂のなかから、虚空に眼窩を向けていた。私はその頭蓋を手に取ろうとした。
ふいに気配がしたので、屈めていた身体を起こす。
井上大和と野積孟が、確かにそこにいた。写真で見た通りの姿だから、わかったのだ。
どちらも程よく日に焼けて、健康的な肌をしている。だから一見、闊達そうかと思う。しかし眼光は鋭く危うげで、不健全な怠さも持ち併せている。大人とも子供とも言えない、違和感のある少年たちだった。
「織田じゃん」
黒髪の方、井上大和が言う。確かに私は織田である。
「織田日奈子です。……井上大和さんに、野積孟さんですよね?」
むこうの方が年下だが、慎重に出る。覚悟はしてきたが、何が起こるかわからない。
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