勲章

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「畏まりました。はい。明日までにポスター用のイラストの作成を追加で一点ですね。……はい。……はい」 電話をしながら修也はメモを取り、すでに立ち上がっていたパソコンソフトで、メールに添付されていたデータを開き、ペン型のマウス、と筆圧感知機能のついているタブレット、いわゆるペンタブレットでイラストを描き始めた。 電話を切り、スマホを黒いタブレット左側に置くと、下書きを清書する作業に集中する。 修也は今はイラストを描いて生計を立てているが、元々は漫画家志望だった。 今も諦めたわけではない。 31歳、低学歴、彼女なし、金なし、持ち家なし、車なし。 数年前までアルバイトも週5日掛け持ちしていたが、ようやくイラストの仕事が何件か入ってくるようになってきて、アルバイトは週3に減らせるようになった。 父親には早くまともな仕事をしろと半分脅されているが、母親は最近は諦めたのかなにも言ってこない。むしろ少し応援するような素振りも見せるようになった気がするが、真意はわからない。 仕事の相談ができる者もいない。
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