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「あっ」
突如パソコンが固まり、開いていたイラスト用のソフトが強制終了した。
避けようのない突然のトラブル。
今まで描いていた分は、これで無駄になった。
「あー!あーあー」
復元ボタンをクリックするが、無駄だった。
彼は椅子にもたれかかり、天井を仰いだ。
「どうしたの? 」
奇声を聞いた母親がドアを開けて事情を問う。
「パソコンが落ちた」
「え?載ってるじゃない」
「……なんでもない」
母親は訝しげな顔でドアを閉めた。
「なにやってるんだろ、俺」
突然の虚無感、疲れ。
疲れている場合でもないのはわかっている。
手に痛みを感じて掌を確認すると、右手の中指に以前からあったペンだこから再び血が滲んでいた。
修也はバンドエイドとテーピングを巻き直すため、机の引き出しを開けた。
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