本当の色

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本当の色

昔、母がかけていた曲の中、ある女の人は「あなたの本当の色は美しい」と歌っていた。 今、自分には「本当のあなたを受け入れる」と言ってくれる人がいる。 とてもしあわせなことだと思う。 けれど神様。本当の自分の色が分からない人は、いったいどうしたらいいんですか。 ・ 「スカートとか、着た方がええかな」 「お前のしたいようにしたらええ」 そうは言いつつも、彼が着てほしいと思っているのは明らかだった。 三月。 彼がしばらく実家に帰るというから、当たり前についていくと言った。彼は細い目を少し見開いて、本気でいいよるんか、と故郷の言葉できいてきた。こういう関係になってから、俺は彼の部屋で暮らしているも同然だった。だから離れるのが嫌だった。一人になりたくなかった。前は一人でいることなんて当たり前だったのに、もう一人での生き方を忘れてしまった。しあわせなことだし、恐ろしいことだとも思う。黙り込んでいる俺を見兼ねてか、彼はギターをチャカチャカ鳴らしながら言った。 「まあええけど」 ・     
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