本当の色

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ふうん、と三葉は分かったような分かっていないような顔をして首を傾げた。 布団の中が自分の体温で温まっていくのが分かった。今までのどんな瞬間よりも、生きているという心地がした。 「もう電気消すか」 ウトウトしていると、真っ黒な瞳がこちらを見下ろしていた。 「うん」 変に眠ってしまったからか、そこからはなかなか寝付けなかった。仰向けになってじっとしていた。目が慣れてくると、天井の模様が顔みたいにみえてきて怖かった。そうだ。あの人に触られている時も、俺は天井をみていた。その天井にはシミがあって、それも誰かの顔みたいで怖かった。 「どうした」 なんでこの人は、分かるんだろう。 「怖いんや、天井が」 そうだ、俺は、怖かった。 「目、つぶり」 目を閉じる。布団の中に三葉の手が入ってきて、俺の手を掴んだ。それは大きくて、骨ばっていて、俺の手をすっぽりつつんだ。 ああ、全然違うな。 俺は女だ。
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