本当の色

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「聴いてくれるん?」 「うん」 しかめっ面をして、慣れない手つきで小夜が弾き始めたのは、シンディ・ローパーのトゥルーカラーズだった。なんでこの曲なんだろう。弾き語りできる曲なんて、この世に数えきれないぐらいあるのに。小夜がこの曲を選んだことに意味なんてないのに。自分の中で、勝手に意味が生まれていく。俺はそれを、涙を、とめることができなかった。 「泣くほど上手かった!?」 「ごめん、ちゃう」 「ええ!?」 「昔、母が流してたんや、この曲」 「もしかして三音さんのお母さん、死んでしもうたん?」 「死んではない」 でもあの頃の母は死んでしまった。     
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