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リズムをつかむ
私はびっくりしてしまった。
まず、兄ちゃんに彼女がいたこと。その人は大学の軽音部の後輩で、四つも年下ということだった。なんてことだ。そんな年下の彼女を、あの兄ちゃんがどう捕まえたんだろう。
次に驚いたのが、その彼女が、とても綺麗な人だったということ。切れ長の目に、白い肌。背はそんなに高いというわけではないけれど、細くてすらりとしていて、その佇まいはとても美しかった。
そしていちばん驚いたのが、その彼女が、まるで男の人みたいだったということだ。彼女は黒い髪を短く切っていて、胸はぺったんこで、自分のことを、俺と言った。小学生の頃、自分のことを僕と言う女の子がいた。中学生になるとその子は、クラスに馴染めないといって広島市内のフリースクールへいってしまった。「俺」って言うことは、そういうことだ。
涙を流していた彼女を思い出す。
お母さんと何があったんだろう。それと俺っていうのとは関係あるのかな。兄ちゃんは知ってるのだろうか。
それに。あれはなんだったんだろう。
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