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Love or Money?
「お姉ちゃん、いくら?」
「…3万円。」
「乗った。」
ネオンがギラギラと眩しい夜の街。
時々、今月ピンチだなあって時とか欲しいものがある時に、こうしてふらふらと歩いて声をかけられるのを待つ。
今日の人はお金たくさん持ってそう。
知らないおじさんに手を引かれてホテルに入ろうとしたら、反対側の手を誰かに掴まれた。
「おい、何してんだよ。」
「あ…裕人。」
「行くぞ。」
「君、この子は俺が買ったんだけど。」
「知るかよ、来い。」
強引におじさんから引き離されて、早歩きで来た道を戻る。
ああ、3万円がどんどん遠ざかってゆく。
オプションつけてもう2万はいけそうだったのになあ。
欲しかったあのバッグはもう少しお預けだ。それよりも強く掴まれた手首が痛い。
「…ねえ、痛い。」
「痛くしてんの。」
「怒ってるの?」
「当たり前だろ、本当何やってんだこんな所で。」
振り返って冷たい目で私を見る彼は相当怒ってるみたい。
彼とはただの幼馴染で、恋人でもなんでもない。
昔はよく遊んでいたけど、2つ年上の裕人が社会人になってからは時々顔を合わすくらい。なのにどうして私に構うのか。
「ほっといてよ。裕人には関係ない。」
私の言葉に足を止めた彼が振り向く。
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