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手首に巻かれていたネクタイが解かれたので、私に覆い被さってキスをする彼の背中に手をまわす。
最初に感じていた複雑な気持ちなど、とっくにどこかへ行ってしまった。
媚薬でも飲まされたかのように頭が回らなくて、今は彼から与えられる快感だけを求める。
「上乗って。」
指示されるがまま、彼のモノを掴んでゆっくりと自分の中に埋めてゆく。
さっきとは違った場所に当たるせいで、すぐに電気が身体中に走る。
気持ちよくて自分から腰を動かして、良いところを擦る。
「気持ちいい?」
「ん…気持ちい。」
「エロ…」
キスをねだると、すぐに柔らかい唇が触れる。
同時に下からも突き上げられると、またすぐに達してしまった。
「敏感すぎ。俺まだ一回もいってないけど。」
「もうだめ…」
「だめがダメ。」
肩で息をしながらくたりと彼にもたれかかると、繋がったまま押し倒されて上から見下ろされる。
その目にはもう冷たさも怒りもなく、彼は動かないまま私に触れたりキスをしたりする。
あれ?まるで恋人同士のセックスみたいじゃない。
「…裕人は私のこと好きなの?」
「嫌いだったらこんなことしない。」
「じゃあ好きなんだ。」
「黙って。」
「あっん…!」
ぐっと奥に届くくらい深く突かれて、甘い痛みに脳が蕩けてゆく。もっと欲しくて、無意識にきゅうきゅうと中を締め付けてしまう。
「菜々、こっち見て。」
快感に耐えるように閉じていた目を開けると、裕人とまっすぐ目が合った。
こうやってまじまじと見るのは久しぶりで、体つきもすっかり男になった彼を見て、私達も大人になったんだと思い知らされる。
少なくとも、こんなことをしている時点で子供ではないか。
彼の頬に手を伸ばして優しく撫でると、余裕がなくなってきたのか、綺麗な顔が快感に歪む。
「あっ、出る…っ」
その瞬間にずるりと引き抜かれて、白濁がお腹の上に溜まっていった。
ああ、終わってしまった。今まで何人もの人達とセックスしてきたけど、彼が一番相性が良かった。
こんなに何度も絶頂を迎えたのも初めてなのに、まだ私の中は疼いている。
ティッシュでお腹の上に出されたものを拭き取った後、彼のモノを咥えて舐めとると、非常に驚いた顔をされた。
「お前…ほんとエロすぎ。」
「どうも。」
「褒めてねーから。」
「ね、お風呂入りたい。」
マイペースな私にため息をつきつつも、手を引いてくれる彼は相変わらず優しい。
白いバスタブにお湯をためている間、べたついた体を互いに流し合う。
敏感なところに触れられるたびに反応してしまう素直な体を笑われてしまった。
広いバスタブの中で向かい合うように座る。
今更恥ずかしくなってきたので、少し彼と距離をとるように膝を抱えた。
「もう、元には戻れないよね。私達。」
「俺は戻る気ないけど。」
「どうして?」
「菜々のこと好きだから。」
「わあ…」
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