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八橋刑事も。
「顔見知りの可能性も有りますね」
堤刑事は、現場を見回し。
「見事に乱れてませんよ。 これって、争った形跡も無いって処ですね」
手帳とペンを取り出す木葉刑事で。
「では、初動捜査と参りますか。 保全で誰が入り口に残ります?」
唐鎌刑事が部屋の外で残り、木葉刑事達は住人や近隣周辺に聴き込みへ出向いた。
1時間としないで、片岡鑑識員が班を連れて現場に入る。 足跡を担当する者、指紋採取を担当する者、班に属する担当係が仕事に動く。 その中で、新たに検死担当の医師と二人で遺体に向かう片岡鑑識員。 其処に、木葉刑事達も舞い戻って来た。
「死後硬直が解けて来てるな、死後2日以上か」
診ただけで、こう呟く片岡鑑識員。
片や、死亡を確認してから直腸の温度を律儀に測る若い女性医師。
「死後2日は経過しています。 詳しい事は解剖しないと言えませんが、死因は頸動脈損傷に因る失血と推測します」
一緒に聴く八橋刑事は、
“観りゃ解る”
と、頷くのみ。
然し、木葉刑事は遺体を眺めながら。
「抵抗した様子が見えませんが、背後から切られたにしては傷口が大きいですね」
片岡鑑識員も。
「頸の前から向かって右後方までだからな。 普通ならば、抵抗されて傷口が乱れても可笑しくは無い」
「片岡さん」
「ん?」
「このダイニング、返って何も無いんですが。 コップの一つぐらい、流しの周りに在っても良さそうですよね?」
「ん・・、念入りに調べて見るか」
「お願いします。 それから…」
「何だ?」
二人して鑑識作業をする者を縫って居間に。
立ち上がる女性医師は、その様子を見て。
「噂の・・」
と、呟く。
八橋刑事も。
「やっぱし、木葉さんは特別感が有るよな~」
其所に、居間の方から。
「木葉っ、此処もか」
「片岡さん、この部屋も念入りにお願いしますよ」
「おう、やる気が出て来た」
「このクソ寒い中で、良くもそんな元気が出ますね」
「お前がヤワ過ぎるんだ」
「ハイハイ。 雪の中を聴き込みに行って来ますよ」
話す二人がダイニングの方まで出てくると、入れ替わりに慌てて居間に向かうのは指紋採取専門の鑑識員二人。
廊下に向かう木葉刑事を見送る片岡鑑識員が。
「有力な証言を頼むぞ。 この事件が長引くと疲れそうだ」
「ハイハイ~」
木葉刑事の後を追う八橋刑事が。
「片岡さん、向こうで何か?」
「ん、また薬物らしきモンが見付かった」
「げっ!」
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