第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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「木田一課長、3年前ぐらいから高血圧とか健康診断で引っ掛かりまして。 それより、奥さんから焼肉やらステーキやらハンバーグやらの夜食を禁止されたみたいッス」 「はぁ?」 キョトンとする美田園管理官には、呆れた顔の木葉刑事が見える。 「木田一課長を周りが誘う事も、木田一課長が誰かを誘う事も、奥さんから注意された運転手が咎める様に言われてるみたいなんですがね。 時々、食べたいストレスが溜まると、部下に誘われたって言い訳に食べてるんですよ」 「んまぁ…。 じゃ、奢るのは、まさか…」 「はい、迷惑料ッスね」 失笑した美田園管理で。 「便利遣いって訳?」 「美田園管理官」 「何?」 「一課長の奥さん、意外にオッカナイですよ」 「会った事が在るの?」 「はい…。 まだ、木田一課長が管理官時代に、ですが」 「へぇ~」 頬杖を突いて珍しがる美田園管理官。 一方、頭を振る木葉刑事で。 「酔った一課長を連れ帰った時に、鬼を見ましたよ。 いやいや、女性は誰でも怖い」 「フフフ…」 笑った美田園管理官は、 「木田一課長も、勝てない相手が居るみたいね」 と、言った後。 「処で、事件の事なんだけど」 「はい」 二人の顔が真顔に成る。 「木葉さん、調べてみて被害者の事、何か新しく解った?」 すると、木葉刑事が資料の一つを出す。 それは、被害者の家の固定電話の通話記録。 「これが?」 美田園管理官は、一瞥してから木葉刑事を見上げる。 「木田一課長にも言いましたが。 被害者は月に数度、タクシーを呼んでます」 「それは、もう去年の時点で報告を受けてる。 買い出しや、銀行に・・でしょ?」 「えぇ。 大概は、食品や宝石やらブランド物を買いになんですがね。 所が、月の中程ですが、必ず同じタクシー会社のタクシーで帰宅しています。 それなのに、そのタクシーを呼んだ形跡が通話記録に無いんです」 「タクシーって、決まった会社の?」 「はい。 明日、久坂さんや司馬さんに打診して、深く聴き込んでみようかと…」 「あの家の主みたいな彼女にしては、なんか珍しい事ね」 「はい。 然も、このタクシーで帰る日だけは、どうも売春や薬物の売買で家を利用する顧客の予約を入れて無いみたいなんです」 「何それ…」 美田園管理官も、これを聴くと身構える気持ちになる。
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