第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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ボーっと袋を漁る木葉刑事に、里谷刑事が隣に座ると。 「木田一課長に、カモられたって?」 「はい。 今日辺り、御電話を…」 こう言う木葉刑事のスマホが鳴る。 取り出して画面を見た木葉刑事は、ギョッとして。 (何でっ、一課長の自宅から直電が?) そ~っと出ると、おしとやかな口調をした木田一課長の奥さんが出る。 「木葉さん、また主人に付き合わされましたの?」 「あ~・・と言いましょうか。 一人で行こうとしましたら、その~一課長が……」 曖昧な言い訳をした木葉刑事。 真夜中にそっと帰った木田一課長らしいが、起きていた奥様にばっちりバレたらしい。 電話先の相手に頭を繰り返し下げる。 程好く長い説明をさせられた木葉刑事は、ゲッソリして通話を終える。 通話相手を理解する里谷刑事は、ニタニタして。 「御疲れ~」 「はい…」 モソモソと食べ始める木葉刑事だった。 さて、本日も捜査が始まる。 久坂刑事と司馬刑事に、昨日に見付けた事を話す。 久坂刑事は、彼女の立場や生活習慣から似合わないと。 「これは早く調べよう」 司馬刑事は、イマイチだが。 「理由が判るまでは、調べてもよさそうですな」 3人で立ち上がる。 他の班では、怪しいチンピラを引っ張っただの。 新たに聴く事が出来たと、関係者を絞って事情聴取をする事を話し合う。 所轄より応援で来た刑事は、誰が手柄に近いだのとヒソヒソする者も居たが…。 タクシー会社に電話を掛けて、被害者より予約を貰ったかの有無を確認する木葉刑事は、運転手に話を聴きたいと申し入れる。 広尾に或るタクシー会社を訪ねる3人。 被害者の女性の事を訪ねると、誰からも同じ話が返って来た。 “毎月、決まった日に成城と喜多見の狭間を流れる川沿いの公園に向かってくれと頼まれ。 公園の正門の駐車場で夕方までを過ごして、それからまた自宅まで送る。 指輪をした女性だったから、不倫かな~と” どの運転手も、昼間の一時の暇を与えられて。 その間、被害者は公園の奥に消えて行くのだとか。 公園の場所を教えて貰い、昼前にその公園へ行ってみる3人。 遊具云々と云うよりは、芝生が在り、ベンチが在り、木陰がしっかりしていて休むにはもってこいの公園だ。 「さて、どうしますか」 木陰だと寒いからか、肩を擦る司馬刑事。 木葉刑事は、周りを見て。 「先ず、聴き込みをしてみましょうか」 久坂刑事も、基本中の基本と直ぐに動いた。
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