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さて、聴き込みをして昼下がりに公園で落ち合う3人だが。
手帳を開く木葉刑事が。
「なんか、変ですよ」
すると、久坂刑事も。
「だな」
司馬刑事は、首を傾げる。
「タクシーで来て、タクシーに乗る姿が見られるのは当たり前ですが…」
そう、被害者がタクシーに乗る姿が目撃されていた。 然も、待たせているタクシーでは無い。 裏口より、どうやら別のタクシーに乗っているらしい。
木葉刑事は、公園内の防犯カメラを探しながら。
「映像から追うのが早いんではないでしょうか。 裏口から道路沿いに、防犯映像を拾って行きましょう」
裏口の防犯カメラを見詰めた久坂刑事。
「何か、ま~たキナ臭くなって来たな」
それから3人は手分けして、タクシーの乗車記録に合わせた日にちの防犯映像を探す。
夜の7時半頃。 木葉刑事が代表し、鑑識課に行った所で鉢合わせした片岡鑑識員に。
「あっ、こんばんは、片岡さん」
「おぉ、木葉。 どうした」
「瓶内さんは、まだいらっしゃいます?」
「あ、いや。 鑑識作業で班ごと出払った。 どうやら楠葉の奴、記憶が曖昧らしいがな。 芥田の居た組員やら薬物の売人を殺害していた様だ」
「うわうわ~、何人殺してるんだよ」
「だな。 で? お前は何の用で瓶内を訪ねて来た」
「ん~、防犯映像を追って欲しいんですがねぇ…」
片岡鑑識員は奥を指差し。
「水臭ぇな、こっちに来い」
「でも、もうお帰りでは?」
「いや、今夜は泊まる。 別件の捜査で、科捜研からの検査を待ちたいからな」
「あ~、じゃ…」
タクシーの防犯映像の解析や、国のデータベースに繋がれる国道の防犯映像を自動集積して貰おうと云う木葉刑事。
然し、コンビニで貰った防犯カメラの映像データを見た片岡鑑識員が。
「なぁ、木葉よ」
「はい?」
「この映像を持ってきた理由、ちょっと詳しく話してみろ」
「あ、はい。 実は…」
話を聞いた片岡鑑識員は、
「お前は、やっぱり持ってるな」
と、嬉しそうにする。
「はい?」
タクシーの映像を眺める片岡鑑識員は、タクシーの車体に指をむけ。
「このタクシー、実はもう無いんだ」
ポカーンとする木葉刑事。
「・・え?」
片岡鑑識員は、最新のタクシー会社のサイトを開き。
「この映像に在るタクシーは、今はこの色なんだ」
教えられた木葉刑事は、色が全く違うと。
「なんか、クリアーな蒼と黄色ッスね。 元のベタな赤とは大違いだ」
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