第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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今時の女性らしい格好と成った智親鑑識員は、木葉刑事が誰かと二人で先を行くのを見付けた。 「ん」 雪が舞う中、小さく返すのみの鴫鑑識員。 だが、木葉刑事を呼び止める智親鑑識員で、夕飯を共にするまで話を進める。 また、木葉刑事も珍しい人物と一緒だ。 それは、秋葉原の事件で組んだ佐々木刑事である。 捜査協力の一環で警視庁に来ていた佐々木刑事が、帰る木葉刑事を見掛けて食事に誘ったのだ。 居合わせた帰り掛けの鑑識員も誘われ、7人は赤坂まで足を伸ばし。 バイキング形式の食べ放題が出来る店へ。 「うわ、珍しいな。 根ホッケやしまホッケが在る」 料理を取りに向かった木葉刑事は、キンキの煮付けやらホッケの焼き物を好んで選ぶ。 一緒に回る鴫鑑識員は、それが何なのか解らず。 「木葉殿、そんなに嬉しいのかえ?」 「キンキは深海の魚ですが、ホッケと一緒に北国でも獲れる魚です。 煮付けなんて正月でしか食べれないので、いやいや有り難い」 こうゆう時の木葉刑事は、まるで子供の様にあどけなくなる。 それがまた可愛く見える鴫鑑識員は、一緒に料理を選び回るだけでデートをしている気分に成った。 酒も含め、雑談と事件の話を交えて話が咲く。 佐々木刑事も、酒が入ると陽気になる方で、なんやかんやと楽しい時間が過ぎた。 その中でも、鴫鑑識員の様子は印象的だった。 普段は、殆ど飲み会などには参加せず、まっすぐ帰る鴫鑑識員。 処が、飲み会の席での様子を見ると、流石にクラブでNo.1だった所作が見えた。 おしぼりを配る処から、人の溢した少しの汁気すらそつなく拭く。 食べる仕草、呑む仕草も美しい。 そして、何よりも木葉刑事の脇に座り、話をしながら世話を焼く。 丸で、ホステスでも連れてアフターに出たか、気の利く彼女を持った彼氏の様で。 然も、気は解れども調子に乗らない木葉刑事とは、雰囲気が良く馴染んでいた。 そんな二人の様子は、智親鑑識員は嬉しい限り。 姉と慕う鴫鑑識員を、自分が全力で応援したいらしい。 10時近くまで過ごした7名は、その後に女性達をタクシーで行かせ。 木葉刑事など男性は電車で帰った。
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