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織田刑事と里谷刑事が、他の捜査員と見守る。
美田園管理官の眼が、この日の寒さに合わせた様に感情を失い覚める。
「捏造が在ったのですか?」
若い男性刑事は、寧ろ力み。
「それを心配しているんです。 何でっ、彼はこうも証拠や情報を集められるのか、不思議に思いませんか?」
と。
だが、美田園管理官は。
「思いませんね」
「どうしてっ」
「貴方や他の応援で来る人物が同じようならば、思うかも知れない。 でも、木葉刑事は誰よりも足と頭を使い、一日の時間が許す限り捜査に向き合っています。 定時だから、応援だからと、手を抜く捜査をして無いわ」
美田園管理官に見返された彼は、言い訳染みた様に。
「ならばっ、彼の様にオーバーワークをすればイイって事ですかっ!?」
この時点で既に、美田園管理官と彼の思考が捕らえる論点がズレている。 美田園管理官は、木葉刑事の努力を軸にした捜査員としての資質を想い。 讒言しに出た彼は、時間だの見せ付ける態度や様子を想っている。 これでは、話になどなろうものか。
呆れたのか。 彼を見ることすら詰まらなそうに、また資料に眼を落とす美田園管理官。
「与えられた役割の中で、結果を出しているのはどちらですか? あの現場で、木葉刑事以外が麻薬を見付けられないのは? 波子隅を連行して、彼以外に誰があんなに早く口を割らせましたか? 逃走車両の行方を追う経過を知ったのは、貴方も、私も、他の刑事も一緒でしたが。 誰が、盗難車と入れ換える偽装工作を見抜いていましたか? 現場で発砲事件が起こり、関係者が撃たれ。 その関係者への事情聴取には、此方からも貴方を含めた刑事を先に向けましたよね? なのに、黒澤の犯行を防いで、関係者の口を割らせたのは?」
次々と言われて、彼は返す言葉も無く立ち尽くす。
「“捏造”? この忙しい時に、詰まらない事で笑わせないで貰えますか? 木葉刑事が捏造して居たならば、この起こった事件全てが仕組まれた事になりますよ」
こう言った処で、美田園管理官が顔を起こし。
「発砲が起こったと聴いて、尻込みし先に帰った貴方に、木葉刑事の事をどうこう言って欲しく有りませんね」
事実を指摘され、男性刑事は針の筵に引き摺り出された気分だ。
そんな、小刻みに震える彼へ。
「大体、割り当てが決まっているのに、何時までもそうしているつもり? “税金泥棒”って、貴方の事を言うのかしらね」
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