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「お、お正月だよっ……!」
「正月だからだ」
納得のいかない切り返しには、反論を許さない圧も感じる。錦の身へ影を落とす一刀。
「だ、駄目っ……誰か、来たら……っ」
強くも抗えない錦の耳へは、手際よく衣を剥がされる絹擦れの音が。
「来ない。先程から辛抱しておったのだぞ」
程無く晒された白い肌へ口付けを落とす一刀。抗う錦の腕も震え出す。
「ん、あっ……よ、夜、あんなに……っ」
「あんなに?」
意地悪いこと。一刀からそう問われ、錦は真っ赤に染まった顔を背けてしまう。
「あんなに、とは……どんな?」
更に問う唇は錦の肌へ甘い刺激を与える。
「い、いじ……わる……っ……あっ……ん……もう……!」
淫らに欲を誘う一刀の口付けと愛撫に、最早陥落仕掛ける錦。一刀の手が錦の腿へ触れた、其の時であった。何やら外が騒がしい。気を削がれた錦が、一刀の体を押しやった。
「な、何……?何か声が……」
「捨て置け」
気にせず、腿へ来た一刀の手を慌てて制する錦。
「駄目っ、何か近付いてくる気が……」
こんな処でおあずけ等されては堪らないと、一刀は溜め息を吐く。
「正月だ、神楽達が遊んでるのではないか」
言いつつ、錦の額へ宥める様に口付けを落とした次の瞬間。
「帝!此方に后妃様はおられまするか!?」
「后妃様!」
「こうひさま!」
神楽を筆頭に続いた、襖の向こうより聞こえる幼子の声。
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