新年。

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 霞の言葉に、錦は隣の一刀へ視線をやり表情を強張らせた。暗い影が見えそうな凍りついた表情で、ちゃっかり錦の膝へ落ち着いている神楽の頭を睨むように見下ろしていたのだから。 「神楽、お前の席は其処では無かろうが。戻れ」 「御挨拶に来たのです」  低い一刀の声も、慣れているのか意に介さず。顔も向け無い神楽。 「もう仕舞いだ。戻れ」 「嫌です」  錦の衣にしがみつき、漸く顔を向けた神楽だが一刀へ其の視線は挑発的に睨むかの様な。一刀は此の可愛げ無い様へ口角をひきつらせ、憤りから身震い迄覚えた程。 「おのれ……夜は厠も一人で行けぬ癖に、猪口才な」  此処で神楽の表情が変わった。顔全てを真っ赤に染め、みるみる滲んで行く瞳。 「ひ、酷いぞ!后妃様の前で……!一刀なんか嫌いだぁ!」  そう言いつつ、錦の胸元へ顔を埋めてしまった神楽に、一刀の表情は更に険しく変わる。神楽の羽織を掴み、錦より引き離そうと。 「喧しい。どさくさに紛れおって……!」  錦は庇う様に、神楽の体を抱いて身を躱してやった。 「み、帝、神楽はまだ幼いのですから……どうか、多目に……!」  錦に乗っかり神楽も。 「帝が怖いです……」  等と抜かしながら錦の死角より、舌を出してほくそ笑む神楽の顔。一刀は、最早青筋を浮かべ怒りの表情。 「此奴の強かさをお前は知らんからそう言えるのだ。霞殿、なんとかせいっ」 「まぁ、怖いお顔……」  霞は衣の袖で口元を覆いそう言いつつも、微笑んでいるかの様に落ち着き払っている。 「喧しい。元よりこんな顔だ」
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