0 メタモルフォーゼ、再び

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 エッシャーの画集を見終わった秋川と瀬田とは、当然のように一緒にベッドの中に入っていた。  つい、さっきまで杉生の文字を辿っていた瀬田の指先が、今は自分の素肌の上を慈しむかの様になぞっている・・・  杉生とのことを思い出して細められていた瀬田の瞳が、今は自分だけを見つめている・・・  それらのことに安心した秋川は、杉生に嫉妬していたことをはっきりと認めた。  瀬田が杉生と、ただただ辛いだけの恋愛をしていなかったと判って、本来ならば喜んでやるべきなのに・・・  一方、瀬田はエスパーでも何でもないので、自ら部屋に来たいと言い出した秋川を、単純に歓迎していた。  さっき見た雑誌のどの表情よりも、今の秋川はきれいで、そしていやらしい顔をしていると、瀬田は思う。  やっぱり、実物の慎一さんの方がいい。とローションをまとった指を、秋川の体の上だけにとどまらずに、更に奥へおくへと進ませた。 自分しか知らない、秘密の場所に・・・  上がる秋川の声に隠し通せない快感を聞き付けて、瀬田は意地悪げに指を止めた。  赤く染まった耳にささやき掛ける。 「写真よりも、本物の慎一さんの方がずっとずっと素敵です。可愛い声も聞けるし」  行き掛けの駄賃とばかりに、瀬田は弾力がある秋川の耳たぶを甘くかじった。 「っっ!はる・・・きっ!」    
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