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エッシャーの画集を見終わった秋川と瀬田とは、当然のように一緒にベッドの中に入っていた。
つい、さっきまで杉生の文字を辿っていた瀬田の指先が、今は自分の素肌の上を慈しむかの様になぞっている・・・
杉生とのことを思い出して細められていた瀬田の瞳が、今は自分だけを見つめている・・・
それらのことに安心した秋川は、杉生に嫉妬していたことをはっきりと認めた。
瀬田が杉生と、ただただ辛いだけの恋愛をしていなかったと判って、本来ならば喜んでやるべきなのに・・・
一方、瀬田はエスパーでも何でもないので、自ら部屋に来たいと言い出した秋川を、単純に歓迎していた。
さっき見た雑誌のどの表情よりも、今の秋川はきれいで、そしていやらしい顔をしていると、瀬田は思う。
やっぱり、実物の慎一さんの方がいい。とローションをまとった指を、秋川の体の上だけにとどまらずに、更に奥へおくへと進ませた。
自分しか知らない、秘密の場所に・・・
上がる秋川の声に隠し通せない快感を聞き付けて、瀬田は意地悪げに指を止めた。
赤く染まった耳にささやき掛ける。
「写真よりも、本物の慎一さんの方がずっとずっと素敵です。可愛い声も聞けるし」
行き掛けの駄賃とばかりに、瀬田は弾力がある秋川の耳たぶを甘くかじった。
「っっ!はる・・・きっ!」
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