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案の定、鼻の頭がぶつかりそうな程に間近にある瀬田の顔は、あくまでも真剣だった。
「えっ?」
「やっぱり、覚えてないんですね?何時もより積極的だなぁって、思ったんですけど」
残念がっているのを全く隠さない口調でそう言いながら、瀬田は手を指を動かす。
「ちゃんとって・・・?は、晴季っ!?」
「出してないでしょ?溜まったままですよ」
ホラ。と、瀬田は指の腹で秋川の根元のそっと、柔らかく揉みしだいた。
「や、止めっ!嫌だっっ!」
激しい射精の欲求が文字通り突き上げてきて、秋川は思わず叫んだ。
「どうして?よくないんですか?」
瀬田は更に上体を秋川の背中へと押し付け、前へと逃れようとする秋川の顔を覗き込んだ。
後ろ手に自分の腕に立てられた秋川の指が震えているのに気付いて、瀬田は思わず手指を止める。
「慎一さん?」
「後ろからは、嫌だっ!」
「え・・・?どうして?」
気を失うくらいよかったのに?という、余りにも露骨な言葉を、瀬田は寸でのところで飲み込んだ。
代わりに恐るおそる尋ねてみる。
「もしかして、痛いんですか?」
秋川が首を横に振る。
前を向いたままでうつむき、言った。
「・・・見えないから」
「え?」
「おまえの顔が見えないから」
怖いんだ。とは、さすがに秋川は続けられなかった。
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